暗闇の世界であなたを見つけた
学校を2人きりで歩く。
先輩はチラチラと私がちゃんとついてきているか確認してくれた。
少しの時間だったけど、付き合っているかのような感覚に陥った。
「かっこよかったな〜」
一人事のようにボソリとつぶやく。
誰にも拾われないその声は、雲一つない青空に吸い込まれていった。
入学して知った、先輩に彼女がいる事実。
告白なんかする前から失恋した。
でもどうしても諦めきれなくて。
辛いってわかってる。
胸がおしつぶされる。
それでも私は、毎日この屋上にやってくる。
先輩の近くに少しでもいたい。
どれだけ悲しくても、辛くても。
先輩を見れないことのほうが私は辛いから。
「痛い…。」
胸元をぎゅっと握ると、優しく脈を打つ心臓が切なくて。
この心臓はもう早く脈打つことはないのかな…?
無意識のうちに頬を伝う熱いもの。
ねぇ先輩?
私もあなたを思ってるよ。
私を見つけてよ。
「私じゃダメですか…?」
初夏の風に乗って私の声は消えていったーー。