アローン・アゲイン
帰りは彼女の希望で、来た道とは違うルートを選んだ。

「高速に乗り、二つ目のインターを降りればもう君の庭さ」

「道の事を言われても分からないわ」

確かに…ペーパードライバーの彼女には無理もないが、

「事務的な配慮さ…アクティブな堅実派だけにデリケートな依頼には慎重を期すタイプなんだ」

「フィジカルな関係を避けるのも、その傾向が一因?」

「かもね…一律に肯定はしないが、誠実な君に対してなら自重するまでもないよ」

「見てて分かるわ…だから安心出来るの」

ハイウェイが延びて行く先には、薄曇りのベールに遮られた疎らな星が闇の中に沈んでいる。
今想えば、戸惑いの欠片の様に灯る華奢な光は彼女の心情を映していたのかもしれない…

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