相合傘
それからは、なんて言おうか考える毎日で。
何をしてても、ボーッとして手につかない。
さおりにも言ってないから、
恭ちゃん、具合でも悪いの?って
本気で心配させてしまっていた。
ごめん、さおり。
でも、言えない…。
あたし、木っ端微塵になる覚悟だから。
それでも…言いたいの。
伝えないと、あふれそうなんだもん。
当日…。
心ここにあらずのまま。
自分の番が終わり。
間の2人分、隣の教室で待って。
とうとう…
最後の仁くんが、先生と話し始めた。
隣にいると、少し声が聞こえてきた。
あれ、先生ドアちゃんと閉めてないんだ…。
ハッキリでは無いけど、内容を聞いてるのも
悪いかなと思っていたら、
突然、先生の大きな声がした。
でもなぁ。水くさいだろ?
本当に言わないで行くのかぁ?
……
…え?なに?
嫌な予感がした。
仁くんの声は小さくて聞こえないけど…。
行くって?
まさかと思ってるあたしに…先生の声が
追い討ちをかけた。
じゃあ転校の手続きは、早めにやっておくよ。
転校って言った!?嘘でしょ?
なんで??
そんな…ぁ。
涙が止まらなかった。
聞きたくなかった…。
知りたくなかったよ…。
木っ端微塵になるより…
ずっと悲しいじゃん…。