君と運命の恋をもう一度
「さようなら。もう夏休みは終わりよ。あなたはもう大丈夫。あなたの帰る場所に帰って」

静かに、声も出さず涙を流す、君の瞳を俺は忘れない。

抱きしめて、ただ君を抱きしめて、神様にどこかで君と二人だけにして欲しい。

そんな事を願った。

君はその事を知ってる?

それをしなかった俺は、臆病者だったんだろう。

権力に勝てるだけの力も、強さもあの頃の俺には無かったのだから。

すべてから逃げていた自分のツケが、こんなところで自分の首を絞めた。

結局あの時も、あんなに愛してくれた君から、俺は逃げたのかもしれない。

“どうにもできないから仕方ない”

そんな言い訳だけを口にして。
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