うそつき
あれから果乃は時々散歩に行って体力をつけつつ、日中はずっと勉強するようになった。



楽器の腕が鈍らないようにたまに触ったりはしたけど、それでも学業優先と言った。



そんな果乃を後押しするために僕の参考書を渡して、そして、勉強を教えていた。


果乃は頭がいいから教えることなんてほとんどなかったけど、果乃が頑張っているのを見て僕も何かしてみようと思った。


だから、中学の頃までしていたテニスを再開、テニス部に入部することにした。


うまくできるかはわからないけど、昔みたいに何かに一生懸命だった頃を思い出したくなった。



「ねぇ、唯兎くん。本当にテニス部入るの?」


「ダメ、かな?」


「んーん…、一緒にいる時間、短くなっちゃうなって…」



果乃は僕のベッドに寝転がってムスリとした顔をした。



「果乃は入学したらバンドするでしょ?」


「んー、悩んでるの。


入りたいって思う気持ちはあるんだよ?


中学の頃できなかったし、みんなとまた演奏したいって思った。


けどね?『White liar』は今のメンバーで落ち着いてるみたいだから。


新しいバンド結成する気もないし…」



果乃は本当に悩んでるようだった。



「今まで通りネットで活動するなら、バンド入ったら大変だって思うし…」
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