うそつき
「じゃあ僕と一緒にテニスする?」


なんとなく、間をとった感じのことを言ってみた。



「そうしようかな…」


「えっ」


だからこんな適当な発言に乗ってくるとは思わなかった。


「えって、唯兎くんが提案してきたんでしょー?


それに私、マネージャーなるまではテニス部だったし…」


「えっっ」



果乃はもともととてもアクティブな子だったようだ。


「マネージャーは兼部できなかったんだけど、テニス部は兼部できてたから陸上と兼部してたの。


1ヶ月くらいだったけどね」



果乃はそういうと僕のギターを出してきて、音を鳴らした。



「チューニング、してあるんだね」


「果乃の気がいつ変わってもいいように、すぐ弾けるようにしてるよ」


「そっか…ありがと」


そう言って、果乃は一曲弾き語り始めた。


僕がこの間始めて一人で作曲してネットにあげた曲だった。


歌詞は果乃に後付けしてもらった。


つい1週間前にあげたとこで、果乃には迷惑かけたと思う。


勉強、大変なのに。


僕の気まぐれのせいだね。


でも、ちゃんとコード覚えててくれてた。


素直に嬉しかった。



「この歌。すごい好き。


うさちゃん頑張りました」



そうやって果乃がニコッと笑うと僕の胸はキュッとした。
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