うそつき
一般で受ける果乃は猛勉強。


いつになく真剣で。


耳からサラサラ流れ落ちる髪の毛を直す姿がめちゃくちゃ可愛かったり?


果乃が落ちるなんて思ってない。



だけど万が一、果乃が合格しなかったら僕と通える高校生活は長くて1年になってしまう。


そんな寂しいことにはなりたくないと、僕の自分勝手が泣き叫ぶ。



購買でメロンパンを買うと、ぼーっとかじり、ざわざわと話す保護者の会話を聞いていた。


ミキちゃんママはどうなの?ミキちゃん合格しそう?


きっと大丈夫よ。あの子頑張ってたもの。サヤちゃんママもサヤちゃんのこと信じてるでしょ?



などという会話が僕の頭を右から左へ流れる。



こういう時に誰かいてくれたら、気が紛れていいのに。



「あ、唯兎くんじゃん」



突然僕に話しかけて来たのは見知らぬ人…



ではなくて『White liar』のドラム担当、月城安里という子だった。


確か、バレンタインのときに柚月と一緒にちょこちょこ歩いててその時知り合った子だ。


清楚で、ぱっつん前髪がよく似合う生徒会の子だった気がする。



「あ、どーも」


「どーも。どうしたの?こんなとこで」


「いや、果乃の保護者がわり」



ひらひらと手を振ってこちらに向かってくる月城さん。
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