うそつき
1週間後。


「合格発表ですねっ」


意気揚々と僕にそう告げたのは果乃ではなく、母さん。


「今日は私も一緒にみにいくわっ!せっかくお休みができたんですものっ!」



声高らかに宣言するとばっちしメイクをして、果乃の手を取って、学校へ向かった。


三歩後ろを歩く僕。


寂しい。


母さんと果乃はドキドキワクワクといったようにニコニコとお話ししている。


三歩後ろを歩く僕。


寂しい。


鼻歌を陽気に歌いながらスキップする女子二人。


三歩後ろを歩く僕。


寂し…



「唯兎くんっ」


「どうしたの?」



突然向けられた果乃の笑顔に僕の脈は波打ちます。



「受かってる気がするのっ!絶対っ」


「そうだね、絶対受かってるよ」



いつも通りじゃらじゃら耳にピアスをつけてる僕と違い、受験日と同じく何もつけてない果乃。



親子共々ピアスをつけてチャラチャラしている僕たちと違い果乃は根は真面目なのだ。


学校に着くと、受験生が何人も行き来してるいる。


今回の受験倍率は4倍。


泣きながら帰っていく受験生の方が多く見られる。


果乃は掲示板の前まで走っていく。


母さんからもらった赤いマフラーをゆらゆらさせながら。
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