うそつき
結果を見てすぐに果乃は僕の元に走って来た。



「唯兎くんっ!あった!番号あったよっ!」



そう嬉しそうにいうと果乃は僕に抱きついて来た。



「おめでとう!!お疲れ様だね」


「ありがとうっ!」



母さんは僕と果乃が抱き合っているのを見てしめたと思ったのかカメラのシャッターを切った。


「は?」


「え、いや、可愛いなぁって…」


母さんは悪びれもなくそういうとニコッと笑った。



「ここは外だし、家出しなさい?お母さん、何も言わないから」



私はなんでも知っている、といったそぶりでニコニコと笑う母さん。



「あ、美和さん!これからいっぱい迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします」



そういってぺこりと頭を下げる。



「あらいいのよ。将来は私の娘になるんでしょう?いくらでもお金かけられるわ」


そう言いながら口元にスマホを寄せる。


「えっ…」


「あら?違うの?


バレンタインの次の日に果乃ちゃんの首筋にキスマークがあったからそうだと思ったんだけど」



やばい。


完全にばれてる。


親にばれてる。



「最後までしてないみたいだったから、何も言わなかったんだけれど。



私の思い違いだったかしら」


「いいえ何も違いません本当に迷惑かけますこれからも」


僕は一息でそういうと果乃の手を引いて家まで全力疾走した。


果乃は慌てたように僕に引きずられていたけど、軽く付いてきた。
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