うそつき
唯兎くんはまだ目がとろんってしてる。


可愛い。


顔立ち、ふわってしてて可愛い系だよねこれ。


多分、モテてるんだろな…。


「そっか。ご飯の時間だから、持ってくるね?」


「…ん。待ってる」


「はーい」



そういうと、唯兎くんは部屋から出て行く。


…私も早く外に出れるようになりたい。


あと、男の子の前でも、どもらなくなりたい。


おばさん────美和さんの前ではどもったりしない。


女の人は怖くない。


だけどやっぱり唯兎くんも男の子で、怖いっていう意識が働いてしまう。


あぁもう…、もっとちゃんと、唯兎くんと喋りたい。



必要最低限しか、部屋から出てない。


やっぱり、外の世界は怖くて。


せめて家の中では自由に歩けるようになりたい…。


唯兎くんの部屋に入ってみたい。


美和さんとご飯食べたい。


みんなで…、みんなで、楽器を演奏したい。
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