うそつき
ねぇ、みかんのゼリー結構高かったんだけど。



僕にはお金戻ってこない?



今月もうお金ないよ?ねぇ?



僕はみかんゼリーの入ったビニール袋を握りしめて、心の中で叫んでいた。



家に着いてから、母さんにゼリー代を請求したところガン無視された。



うん、ゼリー代は、いいや…。



ゼリー届けに行こう…。



この、バカでかい家のバカ長い廊下を一人とぼとぼと歩く。



僕は音楽一家に生まれた。


母はつい2年ほど前まで有名なフルート奏者だった。


今でもテレビで演奏しているのをよく見かける。



父は、世界を飛び回るピアニスト。



とても有名な音楽大学出身らしく、実力は世界中でコンサートを開くほどのものらしい。



そんな家庭に生まれた僕が、楽器を触らないはずもなく、その辺のバイオリニストよりはうまいらしい。



他にも、ピアノ、フルートをはじめとして、ドラムやギター、ベース、コントラバス等々、みんなが知っているような楽器は演奏済みだ。



まぁ、だからといって、音楽の道に進むつもりもないけども。



まぁ、そんな二人の資産は莫大なものらしく、家もバカでかく、母さんがフルート奏者を引退するまではお手伝いさんが数人がかりでそうじや家事をしていた。



今は母さんが一人で全てをこなしている。
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