うそつき
そういうと控えめに冷蔵庫を開け、テキパキとお茶を入れている。


「テスト、終わったら私がご飯作りますね」


「いいよいいよ、気にしないで」


「いや、でもあのバカ兄貴のせいで私まで泊まらせてもらえることになってしまって、申し訳ないんです。


せめて、ご飯ぐらいは作らせてください」



「あー、そう、だよね。気、使っちゃうよね。


わかった。お願いするよ」



「ありがとうございます」



…沈黙。


辛い。



「…今日、帰り遅かったんですか?


果乃ちゃんが言ってましたよ。今日はいつもより遅いって」


「あぁ、うん、まぁ」



後ろめたさで胸がいっぱいになる。


本当は後ろめたさなんて抱く権利ない。


付き合ってるわけじゃない。


果乃には僕が告られたことなんか関係ない。



「告白でもされました?」


「まぁ、そんなとこだよ」


「昔から、モテてましたもんね。うちの学年にも唯兎くんが好きだっていう子少なくなかったですしね」


「…そうなの?」



めちゃくちゃ初耳なんだけど。


いや、控えめに言っても、ちっちゃくて可愛いサイズだっていう理由で物好きな先輩たちのラブコールは途切れなかったけど…。


後輩にモテてたなんて聞いたことなかった。
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