うそつき
「昔は、私も好きでしたもん」


「は?」



驚いて振り返ると、ユキちゃんはニヤッと笑って舌を出した。


「うそでーす」


驚き損でした…。



「一緒に果乃ちゃんの部屋行きましょう?後ろめたさなんてあの子には関係ないみたいだし」



この子は苦手。


クールで大人っぽくて、何を考えてるかわからない。


でも、ちゃんと優しいのを長い付き合いの僕は知ってる。


昔から面倒見が良かった。


毎日喧嘩して帰ってきた和馬の手当てをしていたのはユキちゃん。


毎日仲直りもさせていた。


今だって。


僕が足を進められるように一緒に行こうと言ってくれる。


さりげにお茶も3人分用意している。


僕が断っても連れて行く気だったんだろうな。


わかりにくい優しさ。


まぁこの子のいいとこだと思うけど。



果乃の部屋に行くと、びっくりするほど散らかっていた。


まぁ全部勉強道具だけど。



「汚い…」


「…あ、唯兎くん。おかえりなさい」



果乃は僕を見ると満面の笑みで迎えてくれた。


「ただいま。遅くなってごめんね?」


「…んーん、ユキちゃんと、遊んでたから…大丈夫だよ」


「そう、よかった」



いつもと一緒。


変わってない。


よかった。いつも通り可愛い。
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