うそつき
「…ユキちゃん、ギター弾いてもいい?」


「いいよー」


「…ありがとう」


「リクエスト!果乃ちゃんの歌がいい!」



ん?果乃の歌?


へ?



「…えっと、どの曲がいい?」


「んー、この間出してたやつがいいな、『そら』がいい」


「…わかったー」


そういうとパソコンを立ち上げて楽譜を表示した。


「果乃の…歌?」


「そだよー。果乃ちゃん、ネットで有名な歌い手さんだよ」


「は?」



めちゃくちゃ初耳なんだけど、


え、教えてくれてたらすぐ聞いてたのに。



「…黙ってて、ごめんね?…タイミングがなくて」


えへへとはにかみながらギターを構える果乃。


目を閉じて、ふぅーと息を吐くと、優しい曲を奏でる。


ギターでも優しい音色を出せる果乃は本当に上手いんだと思う。


しかも弾き語り。



透明感のある可愛らしい声が1つ1つの言葉に命を与える。


しかも、音域が広くて、女の子の割になかなか低い音も出せている。



「かわい…」



ボソッと溢れた声は果乃の歌声にかき消された。
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