うそつき
ゼリーの入った袋を振り回しながらたどり着いたのは、城ヶ崎果乃がいる部屋。



この部屋はただただ余ってた何もなかった部屋だ。


昨日、ベットと机、椅子、その他たくさんのものが部屋に運び込まれた。



現在、彼女は部屋でおろおろしているらしいのだが。



これは…入っても?


ノックしてみようか…?



コンコンコン



「唯兎です、ゼリー届けに来たんだけど…」


「…い…て……さ…」


「え?」



扉がゴツいのかくぐもった音がモゴモゴと聞こえるだけだ。



「…入っ…く…さい」



多分『入ってください』って言ってるよね?


入るよ?



入るからね?



「失礼しまーす」



ガチャリとドアを開けるとベットに潜ってもぞもぞと目から上だけ出している城ヶ崎果乃がいた。



なんだろ…かわい…。



小動物感…。



「…リー」



「…あ、うん。ゼリーだよね」



「…この、つ…え……て…さい」



「ん?」



「…そこの…くえのう…に…おいてくだ…」



「あ、机の上か」



机の上にそっとゼリーとスプーンを置くと手持ち無沙汰になってしまった。



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