うそつき
────あれから、時は過ぎて土曜日。


お泊まり会の落とし穴を見つけてしまった。


土曜日は和馬もユキちゃんも部活。


ってことは果乃と2人きりな訳で。


結局意味ないっ!



「…唯兎くん、これ、教えて欲しいの」



現在果乃の部屋で勉強中。


果乃はできるだけ規則正しい生活を送りたいらしく朝も早い。


現在朝の9時。


いつもの僕なら寝ている時間に果乃から電話がかかってきて、勉強しようとお誘いがきた。


『…もしもし、…あの、一緒に勉強、しない?』


それが朝の6時30分。



「…唯兎くん?」


「あー、うん、ごめん。どこ?」


「…これ、なんだけど、どうしてここは二乗になってるの?…気まぐれなの?」


「いや、ちゃんと理由はあると思うよ?」



チラッと見ると、知らないうちに2年の教科書になっていた。


ペース早っ。


「これってさ、ちゃんと数学以外の教科もしてるの?」


「…うん、実技教科はしてないけど…」


そうはにかむと、もう一度問題を見て悩み始めた。



やば…眠い。


昨日、遅くまで本読んでたのが悪かったな。


もうちょっと…早く寝れば…。


「…ゆい…ん?」


そして僕は寝落ちた。
< 30 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop