うそつき
それから2時間、頭の中がぐちゃぐちゃになるほど引き続け、果乃が満足そうに微笑んだ。


「…できた」


あの後、封印したと言いつつすぐに歌詞を出して来て、

僕のアコギを聞いて、それをキーボードで起こしつつ、歌詞に会うメロディをひたすら探していた。


果乃は才能の塊なのか、アホなのかアコギの音を聞きながら、絶対音感でキーボードで起こすという同時進行とともに、少しテンポをずらして歌っていた。


それなら余計にわかりにくいんじゃないかと思ったけど、意外にその方法が納得のいくものだったらしく。


サビの音がめちゃくちゃ綺麗になったとはしゃぎまくっていた。


なんかもう、頭いいのか悪いのかわからない。


時計を見ると9時。


は?


まじかよ。


「果乃、ご飯忘れてるね」


「…へ?」


「ご飯。9時だよ?」


「…ああっ!」



ようやく事の重大さに気づいたのか、慌て始めた。


「…ご、ごめんね?えっと…ご飯…」


「もらってくるね」



そういうと僕はいつも通りキッチンから果乃の部屋へ夕ご飯を運ぶ。



「…ありがとう」


果乃は、いただきます。と言って箸を持った。


その後、ぼくもリビングに戻ってご飯を食べた。
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