うそつき
────体育祭前日。


僕はすでに暗くなった住宅街をとぼとぼ歩いていた。


連日に渡る練習と体育祭の前日準備で遅くなりとても疲れていた。


この状態で明日力が出るのだろうか。



そういえば今日の夜からパリ行くんだっけ、母さん。


流石に、今回は誰も泊まりに来ないけど。


母さん、もう空港へ行ったかな?


そうなると果乃は家に1人か…。


早く帰ろう。


僕は夜道を少し早く歩いて帰った。


家に着くと、果乃の部屋の電気が消えている。


寝た、のかな?


玄関の鍵を開け、ゆっくりとドアを開ける。



「…おかえり、なさい」


「…え?」


そこには果乃が立っていた。


「なんで…?」


外に出るのを怖がっていた果乃が、玄関にいる。


僕の目の前に立っている。


「…えへへ、練習、したの。ちょっとだけなら、怖くなくなったよ…?」


そう言ってはにかみ僕の手から鞄を取る。


「あ、ちょ」


「…はーやーくー、一緒に、ご飯食べよ?」



果乃はくるっと回ってリビングへ入っていった。
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