うそつき
後を追いかけて部屋に入ると机の上にはご飯が置いてあった。


「…美和さん、作っていってくれたの。手、洗って?」


「う、うん」



手を洗い食卓に着くと、果乃はいつも通り手を合わせてご飯を食べ始める。


「ねぇ…いつ、練習したの?」


「…唯兎くんが、学校にいる時。…美和さんと一緒に…」


「そうなんだ…」


「…唯兎くんが、体育祭の練習でいない時、寂しかった…から、その…

ちょっとでも、長く一緒に居たいって思ったから…」


そう言いつつも箸を止めない果乃。


やっぱりまだ慣れては居ないようだけど…。


恥ずかしくて顔が熱い…。


も、ほんと、この子は…。


「…褒めてくれても…いいんだよ?」


そう言って僕の顔を覗き込むもんだから、僕は赤くなったであろう顔を隠しつつ、


「…よく頑張りました」


ボソッと、そう言った。


果乃は満足して微笑みいつも通りご飯を食べ続けた。


ご飯食べてる顔も可愛い。


「ご飯食べたら先お風呂入りなよ?」


「…うん。…唯兎くんも、お風呂入ったら私の部屋、来てね?」


「…う、ん。わかった」



まじか、この子。



この子天使じゃない…。



悪魔だよ…。



夜に呼ぶんじゃない。



もう…っ!
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