うそつき
────「果乃」


ガチャリと扉が開いた。


「…待ってた」


果乃はご満悦の表情。



お風呂に入って果乃に言われた通り、部屋に来たんだけど…。


まだなんとなく髪が濡れていて、色っぽい。



あーもー、なんでのこのこ来ちゃったんだろ…。


断ればよかった。


だって…。


「…唯兎くん」


「うん、離れようか?」


「…やだ」



果乃が腰に巻きついて離れない。


チラッと顔を見るとぷくりと頬を膨らませていて、怒っているようだけどとてつもなく逆効果。



「…私、頑張ったもん。…ご褒美なの」



そう言って一層強く巻きついて来た。



まぁ、そうか。



頑張ったみたいだもんね。



僕は褒める代わりに果乃の頭を撫でた。



そしてお疲れのようなのかうとうとしている。



「眠いなら寝なよ?」


「…んー」


果乃は僕から離れてもぞもぞとベットに入った後、どこから湧いたのかわからないくらいすごい力で、僕のことを引きずりこんだ。


「あっ、ちょ」


「…一緒に寝るの」



そう言って寝息を立てる果乃は天使のよう。



待って、え?


このまま寝るの?嘘?ほんとに?



僕、ねれないでしょ。え、殺される…。






結局、朝まで寝た気がしなかった。
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