うそつき
えっ、まって。


唯兎くん行っちゃったら、私集中攻撃されない?


「えー、なにー?付き合ってるわけじゃないのー?」


咲良の言葉に首を振る。


「なんだー、お互い好きっぽいのにー」


そんなはずない。


ユキちゃんが言ってた。


唯兎くんはモテるって。


だから、私のことなんか相手にしてない。



「果乃は外に出ないし男が近寄ることないから安心してんじゃないの?」


「まぁー、そうだろーねー」


「ち、ちがうもん、唯兎くんはモテるから…」


「あー、確かにモテるか。こないだ唯兎のクラスの委員長に告白されたとか噂されてたな」


えっ…。


やばい、あの人ほんとにモテる人なんだ…。


おっけー、したのかな…。



「まぁー、フったみたいだけどねー。委員長諦め悪いからまだ好きとか言ってたかなー」



唯兎くん、やっぱモテるんだ…。


取られちゃう…。


思わず柚月に抱きつく。



「あら、大丈夫よ。唯兎はあんたのことしか見てないから」


「そんなことないもん…。唯兎くん、いっぱいモテるもん」


「まぁモテるけどさ、ていうか果乃。そう思うならコクっちゃえば?好きなんでしょ?」



…告白?



考えたことなかった。


でも…。



「唯兎くんに迷惑かかっちゃうもん」


「果乃さー、取られる前に自分のものにしておこうって思わないのー?」
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