うそつき
◇ ◇ ◇


あいつらの話は終わったかな。


熱くなった頬をぺちぺちと叩きながら客間に向かう。


あの2人ストレートすぎでしょ。


果乃が僕に気なんてあるはずないのに…。


また、きたいしちゃうじゃん。



客間の襖に手をかけた時、襖が向こうから開いた。


「あぁ、唯兎。今日は帰るね。ありがと、会わせてくれて」


「あぁうん、いいよ」


「また今度ねー、次来たときはケーキが食べたいなぁー」


「…ケーキは持参でお願いします」


そう言って女子2人は帰っていった。



「果乃?」


「ん?何?」


ん?


なんか、いつもと違う?


いや、でも、いつも通りボサボサの髪の毛だし、可愛いし、声も一緒だけど…。



「部屋、戻ろっか」


「うん。唯兎くん、私もケーキ食べたい」


「まじ?」



あぁ、そうかわかった。


会話がスムーズなんだ。


慣れてきたのか。


そういうことかな?


あいつらに会わせたことで、心情の変化があったなら今回はいいことしたってことかな。



「ケーキ、ないの?」


「んー、チョコレートケーキならあったかも」


「食べたい」


「わかった、一緒食べよっか」


「うん」
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