うそつき
実際、会話という会話をしていない。


『ゼリー置いとくね』『うん』



こんなもん。


こんなんで部屋から出せたりするのか?



おばあさん、約束守るのは時間がかかりそうです。




「まぁ、そんなことはなんでもいい!勧誘!したい!」



「やだ」



「はやいっ!」



「和馬のとこ、楽器揃ってんじゃん」



「ボーカルを増やしたいっていう主様の命令!」



「僕じゃなくてもいいよね?」



背が小さくて、声変わりもしてない僕がボーカルに入ったところでそこそこ高い音しか取れない気がする。



「ん?仲良いからに決まってんじゃん!」




そう言って肩をドンっと叩いてきた。



「痛い。そんなら和馬が歌えばいいじゃん」



「無理無理、音痴だし」




キーンコーンカーンコーン



「あーあ、チャイムなっちゃった」



「残念でした、僕は入んないよ」



「わぁーったよ」


和馬はチェっと言って弁当箱をしまうと立ち上がった。



「帰るぞー」


「はいはい」



立ち上がって教室を出る。




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