うそつき
あれから数日後。



僕と果乃の関係値は全く変わらず。



いつも通りギターを弾いて、果乃が作曲して。



地下室なうです。



「ねぇ、唯兎くん。厨二病チックなのが欲しい」


「それはわかんないよ」


僕は苦笑いして果乃の無理難題に応えようとはしてみる。


「あ、それ、も一回」


「はーい」


そうやって着々と曲ができていく。






この間、果乃の過去の曲を見せてもらった。



ギター、ベース、ドラム全部を自分でやっていると言っていたが本当に凄いものだった。


曲を聴いたら弾き方の癖とかが全部果乃だったから。


本当なんだなぁーって。



ちらっと果乃をみると、うちに来た時よりも少し伸びた髪を耳にかけながら譜面に色々書き込んでいた。



うん、可愛い。





あの日────果乃にキスをしてしまった日から。



自分の気持ちを認めなきゃいけないと、ずっと思っている。



ただ、認めたら、認めてしまったら、



これからどういう感情でこの子と一緒にいればいいんだろう。


どうすれば…。


「唯兎くん、あとで録音しようか。一緒に歌おうって約束だったでしょ?」


果乃に話しかけられて急に意識がこっちに戻ってくる。


「あー、うん、そういえば」


果乃に言われて一曲聴きまくって覚えたけど。



テンポが速くて覚えるのが大変だった。
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