うそつき
すると、急に果乃の鼻歌が聞こえなくなる。



ちらりと果乃の方を見ると手が止まっている。


「果乃?」


「…え?あ、何?」


果乃は驚いたようにこっちを見る。


どうしたんだろう。



少し顔も赤いし。



「いや、どしたのかなって」


「いや…」



果乃は僕から目をそらして少し下気味に視線を落とす。



「あのさ…唯兎くん、この前なんだけど…」


「ん?」


「私にさ…キス、とか、した?」



恥ずかしそうに、控えめに。でも、果乃は確実にそう言った。




息が詰まる。



「ど、どして?」


「いや、寝てるときに、そんな感覚が、あって、ね?」



バレてる。


確実にバレている。








「した、よ?」
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