うそつき
「なぁ、和馬」


「ん?どした?」


「果乃に嫌われた場合どうすればいい?」


「は?」



和馬は何言ってんだ、みたいな顔をしてこっちを向いたまま固まった。



「お前、とうとうなんかしたのか?」


「うん…まぁ?」


「なんだ?寝込みでも襲ったか?」



鋭すぎる問いかけに返す言葉がない。



「…まじか」


「可愛いのが悪いんだよ…」



和馬はアホか、と言って購買で買ってきたパンの袋を開けた。



「結局のところはさ、お前が果乃ちゃんのことをどう思ってるかじゃん?」


「うん」


「好きなんだろ?あの子のこと」



和馬は呆れたようにこっちをみている。



「僕が、果乃のことを好きって言ったら、あの子がうちにいれなくなっちゃうじゃん」


「お前の気持ちはわかるけどさ、気持ちを認めないから、制御できなくなって手出して。


そんで嫌われたんだろ?元も子もねぇじゃん」


「そう、なんだけど」


「向こうの気持ちも考えてやれよ」



たしかに、和馬は一つも間違ったことを言っていない。


僕だって本当は、認めたい。


ただ、立場的に、これからも一緒にいなきゃいけない僕が、果乃のことを好き、なんて…。



「もしかしたら、果乃も同じこと思ってるかもしれないだろ?


それに、認めとけよ。告白さえしなきゃ、お前らが気まずいままなんて、あるはずないんだから。


自分に素直になっとかなきゃ、損するぞ」
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