うそつき
僕は、結局どっちつかずのまま果乃が待つ家に帰った。


家に入ると果乃はリビングにあるソファの上で寝ていた。



はぁ、なんでこんな所で寝てるんだろ。



自分にキスしたやつが帰ってくる家で無防備に寝られるとか、どんな神経してるんだろう。



椅子の上にカバンを置くとタオルケットを持って果乃の寝ているソファの横に立つ。



「…こーいうのがダメなんだって…」



そう呟きつつ、果乃にタオルケットをかける。



すると僕の腕を何かが掴んだ。



まぁ、果乃なんだけど。




「なにが、ダメなの?


「起きてたの?」


「なにがダメなのか、聞いてるんだけど」



果乃は相当ご機嫌斜めな様子。



むくりと起き上がって、腕を掴んでいる手と反対の手で僕の制服のネクタイを引く。



顔が、近い…。



「なんで、キス、したの?」



「それは…」



「そういえばこの間、クラスの子に告白されたんだってね」



委員長のことか…?



なんで、知ってんだよ…。


言ってないじゃん…。



隠していたことも果乃には筒抜けってことか…。



「ねぇ、なんなの?唯兎くんは、女の子を弄んじゃう、そういう子なの?」



は?


なんで?



「なんで、そういうことになってるの…」
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