うそつき
最後の含みのある言い方はなんだろう。


聞かないほうがいいのだろうか。



とにかく。


果乃には外に出る気があるらしい。


たしかに最近よく客間に続く廊下に座り込んで窓の鍵を開けるか開けまいか、迷っているのをみる。


中庭から、練習するか。



「今度、一緒に中庭でギター弾こっか」


「うんっ」



そう言って果乃は僕に顔を埋めてその体勢が落ち着いたのか動かなくなってしまった。



うん…可愛い。








一方、果乃は唇を噛んで、涙をこらえていた。



外に出る恐怖と、過去にしてしまった仕打ちと、



外に出てしまったら、おばあさんの元に行かなければいかないことと。



そんなことを心に思って目尻に涙を溜めていた。
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