うそつき
果乃はガバッと僕を見上げて、子猫を僕に向けて押し出してきた。



「この子、可愛いの、唯兎くんみたいだよ!」



「う、うん、そうか…」



すごい複雑な気分です。



とても。



なんだろ、男として見られてない気分。



うさぎって名前つけられて猫に似てると言われてます。



僕そんなに動物でしょうか。




すると、子猫はにゃーと言って果乃の腕から抜けて走り去っていった。


「あぁ…、猫ちゃんがいなくなった途端、残るのは痛みだけ…」



そう言って果乃は中庭に倒れこむ。



うん、とりあえず、このけが人を家の中に入れよう。



「え、やだっ、抱っこはやだ、歩けるからっ」


「はいはい、お家の中に入ろうねー」



果乃を抱き上げて、家に入れる。



「果乃、ちゃんと外出れるじゃん」


「うーん…、猫ちゃんがいたから…」



果乃は抱きかかえられていることに関して照れているのかそっぽを向く。



「僕の方は向いてくれないの?」


「やだ、恥ずかしいもん。唯兎くんちっちゃいのに力持ちすぎだよ…」


「いやいや、ちっちゃくないし。少なくとも150センチない果乃よりも大きいし」


「むぅー!男の子の割には小さい165センチ!」


「なんで知ってんの!」
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