うそつき
「おい、柚月。こいつ、めちゃくちゃ困ってるみたいだけど」



「まぁそうだろうね。一言も言ってないもん」



「なぁ…果乃は?」



すると、柚月は口を開ける。



「果乃は今、咲良と手繋いで、咲良のボディーガードと和馬に囲まれて、お墓に行っているわ。


今日は亡くなった果乃のお姉さんの三回忌なのよ」


「え…なにそれ…」



なにも聞いていない。



お姉さんが亡くなったことも、今年が三回忌なことも聞いていない。



「果乃…一度も行けてないからね」


「そっか…」


「果乃が誘拐された事件。あれは果乃が誘拐されただけじゃないのよ」




「は?」



「お姉さんが亡くなったのもそのせいよ」



待って、色々ついて行けない。



わからない。



「まぁ、今日はこのことを説明するために来たのよ。とりあえず座りなさい」



「ここ、僕の家なんだけど」



「うるさいわ、黙って座ればいいのよ」



柚月に圧倒され空いていた千都の隣に座る。



ていうか、なんで千都が?



別に必要なくないか?



すると、柚月は僕の心を読み取ったかのように、



「これは千都にも関係あるのよ。それに、このことは千都が一番よく知っていることなの」




そう、言った────
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