うそつき







放課後、昨日と同じようにコンビニに寄ってみかんゼリーを二つ買った。


一緒には食べれないかなぁ…。



まず布団から出てきてくれない気がする…。



家に着いて、彼女の部屋をノックする。



コンコンコン



「唯兎です」



「…どぞ」



あ、今日は聞こえた。



ガチャリとドアを開けると、彼女の部屋には昨日なかったものがたくさん置いてあった。



参考書やラノベ、専門書などが詰まった本棚や、なかなか古いパソコン。


さらに、録音機材や楽器もたくさん置いてあった。



な、なんだこれ?



ふと彼女を探すとベットの中にはおらず、部屋の片隅でギターを持って楽譜とにらめっこしていた。



「どしたのこんなに」



「…えっと、おばさんが…なにか、必要なものはないの?って…だから、元のお家にあった…私のお部屋の中身…全部運んでもらっ…た?」



なんで最後疑問形なの…?



てか、可愛い。



え、なにこの子、天使じゃん。



パッチリとした優しい目に血色がよく柔らかそうな唇。


ほんのりピンクに染まった頬。


いたみのない、茶色い髪。



あからさまに僕より小さくて、すらっと長い手足。


モコモコとした部屋着からは白い足が出ている。



あ、本物の天使だ。

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