うそつき
それから1ヶ月入院して、退院した。



…家まで、たどり着かなかった。


それどころか病院の前に止められた車にさえもたどり着かなかった。



人を見ると恐怖しか湧かなかった。



両親は優しく気丈に振る舞ってくれているけど、姉さんが亡くなったショックは私よりも大きいはずで。



迷惑をかけられないと思っていたのに、病室から出ることさえもできなかった。



結局私はその日のうちに睡眠薬を飲んで寝ている間に家まで連れて帰ってもらった。



それからは家から一切出られなかった。



勉強もできない、体力も落ちる。



千都には別れを告げた。



私を待たせるのは悪いし、



それに…。




そんな時に両親が事故で死んでしまった。



私はアメリカのおばあちゃんに引き取られることになった。



…アメリカまで、飛べるはずがなかった。



私はお母さんの携帯の着信履歴を見た。



お母さんが一番多く電話をかけていたのが、真宮美和さんだった。



私は迷わずその人に連絡をした。



他に頼れる人がいなかったし、私の生活に関わることだったから、戸惑っている暇なんてなかった。
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