うそつき
『もしもし』


「もしもし…あの、果乃です、城ヶ崎果乃です」


『あぁ、果乃ちゃん。大丈夫?どうしたの?』



美和さんは私のことを知っているようだった。



「私を預かってもらえませんか…あの、アメリカに、飛べなくて…」


『そうなのね、いいわよ。いらっしゃい?私のことをお母さんって呼んでくれていいのよ?』



ふふっと笑うと、美和さんはおばあちゃんに電話をかけてくれるといった。



それからはすぐに話がついて3日後に真宮家に行くことになった。


ありがたいことに、旦那さんはわざわざ外国で活動してくれることになった。



私はどこにいても迷惑をかけてしまうらしい。



美和さんのお家に着いてから2日。



男の子が私の部屋に入って来た。



美和さんのお家にいた男の子、唯兎くんは女の子といってもいいほど可愛くて、不思議と怖くなかった。



なぜかはわからなかったけど、不思議と安心した。



それからだ。



三年近く、一歩も外に出たいと思わなかったのが、出たいと思えて、



高校に行きたくないと思っていたのが、唯兎くんと同じ高校に行きたいと思って、



初めて、恋をしたいと、思った。
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