うそつき
「果乃、行こっか」


「うん」



涙をふいて立ち上がる果乃の左手を握る。


「唯兎くん、人気者だね」


「ん?どうして?」


「私が最初に唯兎くんって言った時、女の子みんな怖い顔して私のこと睨んでたもん」



そう言って複雑そうな顔をする果乃。


握る手に力を入れて来た。



「果乃だって、男に囲まれてたじゃん、可愛いから」


「可愛くないもん、唯兎くんにだけそう見えるんだよ」



知らないうちにムスリと拗ねている果乃。



「可愛いよ、誰がみても」


「…知らない」


「その服、僕のため?」


「…美和さんと前に通販で買ったの。


唯兎くんと遊ぶの…楽しみだったんだもん」



そう言ってそっぽを向いていた顔をこちらに向けた。



「似合ってる、かな?」



そう言って首をかしげる姿がとっても可愛くて。



「うん。似合ってる。すごく」



そういうと、果乃は少し頬を赤らめて微笑んだ。



そうしているうちにショッピングモールに着いた。



果乃は久しぶりのショッピングモールにだいぶ感激しているのかはしゃぎ始めた。



「すご…」



ショッピングモールの前には大きなツリーが飾られている。



「すごいね」


「こんなの、毎年あるんだねぇー」
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