うそつき
「そう。


…私、唯兎くんと同じとこ受験することにした。


中学3年間の勉強を一年でやらなきゃいけないんだけど…それでも、唯兎くんと学校に通いたいって思ったから」


そう言って果乃はツリーから僕の顔に目を移した。


果乃の頬は寒いのか少し赤くなっている。



「唯兎くんのこと、好きだから」



果乃の赤い頬はさらに赤くなった。



「ありがと。僕も手伝うよ。


果乃のこと好きだから」




素直にそう伝えると果乃はさらに赤くなりそっぽを向いてしまった。



「行こっ」


そう言って強引に歩き出した果乃は耳まで赤く染まっている。



ショッピングモールに入るとクリスマスということでまあカップルだらけだった。



入ってすぐに果乃はちょこちょこと走り始めた。



僕は慌てて追いかける。



「か、かの?」



「あ、ごめん。つい…」



果乃の視線の先にあるのはアクセサリー。


ピアスが多く並んでいるところだ。



「果乃ってピアスの穴空いてたっけ?」



果乃はチラッと僕の方を見上げると長い髪をさらっと持ち上げて、耳を見せる。



あ、空いてる。


しかも2個も。



「知らなかった」



「いつも髪おろしてたから。ちゃんと両方2個ずつだよ?」



果乃はくるっと回ってもう片方の耳も見せてくるれた。
< 97 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop