先輩、いいでしょ?




これから開会式の練習。



男女分かれて出席番号順に男子2列女子2列計4列で並ぶ。



やっべえんだけどやっべえんだけど



最高すぎない?まじやばすぎない?




すっげえ近くにいるんだけど





「前から座ってくださいー」




学級委員の常磐さんが言った。



私達は座り始め、隣の3年3組も座りだした。





やっばいかわいいなにこれおかしいなんか超いいにおいするやばいやばいかみさらさらやばいやばい



きゃああああああすわったあああ




めっちゃ近いんだけどやばいんだけど私匂いとか大丈夫かな髪変じゃないかな




相変わらず木下先輩は赤組側をチラチラ見ながら騒いでいる。




私がこんなに観察してもバレてないのは、横目で見ているから。実は正面から見たいんだよね。




しかも真顔であなたになんて興味ありません感を出して、バレないようにガン見している。




あぁ、尊い



髪の毛めっちゃ揺れてるしぃぃぃ騒いでるだけなのにぃぃかわいいぃ




超遠くから見ても分かるように靴の種類とか覚えとかなきゃ…



黒のNIKEで底が白。よくある靴で残念。

ていうか、木下先輩他の人に比べて少しだけ背が
低めだなあ。



そういうところも可愛くて好きなんだけどね…


 
あ、靴に注目しすぎてた。今木下先輩どんな感じだろ…



何も考えずに木下先輩の方に顔を上げる。




「「!」」




バチンと思い切り目が合う。



その瞬間お互いに少し固まる。


二人の間に流れるおかしな空気、、



やっちゃったやっちゃったやっちゃったやっちゃった

どどどどどうしようまじでどうにかして誰か



 
とりあえずなんか喋れ私!!





「え、っと靴ガン見してすいません先輩」



「え、あ、はい えっと大丈夫」





やばいやばい気まずいってやっぱ話しかけたのが悪かった?話しかけなきゃよかった?


いやでもやっと正面から見れてしかも話せたのにこのチャンス逃したらもうだめじゃね?ねえだめじゃね?



「なんで靴見てた、の?」



そんなことを考えていたら、木下先輩から声をかけてくれた。

 

いや、そんなこと聞かれても



あなたの髪の毛が好きだからとか本当のこと言うわけにもいかないし、第一言ったら引かれるし言うのは回避したい…だけどなにか言わなきゃ…なんでもいい、無視みたいになってなければ何でもいいんだ。何かないか、何か…




そうだ、もうなんでもいいんだ。



「あの、その靴可愛いなって思って。」



我ながらうまい嘘だ。
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