思い出はきれいなままで
「どうって……まだわからないけど優しそうな人だよね」
当たり障りのない答えをすると、恭子も頷いた。
「若くしてこの会社を立ち上げて、ここまで大きくしたのに、威張ることなく、社員からの信頼も厚いのよね。そしていい男」

「へえ」

「それにここだけの話、御曹司らしいよ」
小声で言った恭子の言葉に、私は驚いて恭子を見た。

「御曹司?」
「そう。あくまで噂だけどね」
そんなこと聞いたことなかったけど……。
って、先輩って決まった訳じゃないし……。



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