思い出はきれいなままで
この現状をどうとらえるべきかわからず、私は立ち尽くした。

それでもスタッフの人に促され、私は案内されるがままに席に着いた。

窓の外はさっきの緑がライトアップされていた、幻想的な雰囲気さえ漂い、目の前にはキャンドルが灯るテーブル。
デートでも来られないだろうシチュエーションに私は、完全にどうしていいか分からなかった。



そんな私を気にすることもなく、ソムリエとワインの相談をして、当たり前のようにテイスティングをするその人をぼんやりと見ていた。

「ワインは大丈夫?」
「……はい」


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