思い出はきれいなままで
いつも明るくて、優しくて、私みたいなマネージャーにも気さくに声をかけてくれる。
そんな先輩が大好きだった。

でも、光輝先輩はとりあえずモテた。
180㎝の高い身長に、整った容姿。モデルにもスカウトされて雑誌にも載った事があるという噂もあったぐらいだった……。

私なんかが告白していい相手ではなかった。
遠くから見ているだけの相手だった。
そして、いつも同じ女の先輩が側にいた。
誰もがその人が光輝先輩の彼女だと思っていたし、私もそう思っていた。

でも、一度だけ。
合宿で海に行った時……。

私が3年、光輝先輩が4年。
最後の合宿だった。

どうして二人になったんだっけ?
そこは思い出せず、私はコーヒーを一口飲んだ。

何も言わずに、触れた唇。

あれは何だったのか?

彼女がいるのになんで?

うれしさと、恥ずかしさと、何かの罰ゲームじゃないか?そんな事がグルグルして私はその事について、その後、光輝先輩に何も聞けなかった。

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