飴と傘
私のドラムに合わせて、係長がメロディーラインをピアノでポロンポロンと弾く。いい感じだ。ミズモリケントの低めでハスキーな声なら、もっと雰囲気が出そう。
その時、ドアが開いた。響だ。
「あー、三田村君、いいところに」
これ弾いてみてよ、と係長が譜面を渡す。響は部室に置いてあるバリサックスを組み立てて、私たちに加わった。
「僕は左手でミズモリケントのボーカル、右手でトランペットの旋律を弾くよ、黒田社長のチューバは、いつものように伴奏だから、あまり変化はなくて……」
そこで、係長の説明を響が遮った。
「じゃあ、社長も呼んでみては? その方が感じ、つかめるでしょう?」
そして係長が返事をする間もなく、内線をかけた。
「来るって。せっかくだからミズモリさんにも加わってもらいましょうか。そうすれば、萩岡係長はトランペット吹けるし」
今度はミズモリさんに外線を。
曲の始まりはイントロなしで。
ボーカルとすべての楽器が一緒に入る。
社長のチューバはいつものように安定していて、係長のトランペットは控えめながらも曲に彩りを。バリサックスは、ボーカルと絡み合うように全く別の旋律を奏でる。バッハの二声みたいだ。さすが係長、粋な編曲だ。
雨の雰囲気を出すのは、私のドラム。そしてスピーカーホンにした電話から聞こえるミズモリケントの声が、すべての音を一つにまとめた。
その時、ドアが開いた。響だ。
「あー、三田村君、いいところに」
これ弾いてみてよ、と係長が譜面を渡す。響は部室に置いてあるバリサックスを組み立てて、私たちに加わった。
「僕は左手でミズモリケントのボーカル、右手でトランペットの旋律を弾くよ、黒田社長のチューバは、いつものように伴奏だから、あまり変化はなくて……」
そこで、係長の説明を響が遮った。
「じゃあ、社長も呼んでみては? その方が感じ、つかめるでしょう?」
そして係長が返事をする間もなく、内線をかけた。
「来るって。せっかくだからミズモリさんにも加わってもらいましょうか。そうすれば、萩岡係長はトランペット吹けるし」
今度はミズモリさんに外線を。
曲の始まりはイントロなしで。
ボーカルとすべての楽器が一緒に入る。
社長のチューバはいつものように安定していて、係長のトランペットは控えめながらも曲に彩りを。バリサックスは、ボーカルと絡み合うように全く別の旋律を奏でる。バッハの二声みたいだ。さすが係長、粋な編曲だ。
雨の雰囲気を出すのは、私のドラム。そしてスピーカーホンにした電話から聞こえるミズモリケントの声が、すべての音を一つにまとめた。