ラッキーナンバー
―コンコン
小さく寝室の戸をノックして、静かに開ける。
「入るよー」
志築くんはまだ小さく寝息を立てていて
私はベッドの横に座ると、フォークに1つりんごを刺して志築くんの鼻の前まで持っていった。
「………………」
「……………んぁ?」
甘いりんごの匂いに誘われて、志築くんはまだ眠たそうな目を半分あけた。
「はい、あーん」
「………………」
調子に乗ってりんごを口元まで持っていくと、志築くんはそれをぼーっと見ながら一口、口に運んだ。
それから再び目をとじて、シャリシャリと音をたてながらりんごを食べる
「おいしいでちゅかー」
「………ガキか、俺は」
そう言ってりんごを飲み込む。
「…でも…うまいよ」
志築くんは目を開けると、少し笑って言った。
「ほんと?よかった!」
つられて私も笑う。