ラッキーナンバー
 


茉莉華と玄関まで行くと、靴の裏を木の棒でこすっている志築くんがいた。



「…なにやってんの」



私に気づく気配もなく、必死にひたすら靴の裏をこすっている志築くんの肩をトンと叩いた。



「わっ!…なっ、なんだよお前かよっ」



志築くんは一瞬だけこちらを振り返り、すぐに視線をそらした。



「なに、どうしたの?」



ひょこっと私の後ろから茉莉華が顔を覗かせる。



「玄関出てすぐにガム踏んだんだよ」



振り返らずにイライラしながら志築くんが答えた。

ガム踏むって…



「ぷっ、だっさ」

「うるせーな!だいたい捨てる奴が悪いんだろーが!!」



まぁ、確かにそうだけど。

私が少し納得していると、茉莉華が私に小声で話しかけてきた。



「和音和音っ」

「ん?」

「今、聞いちゃおうよ!
志築くんの本当の気持ち!」



本当の…気持ち?



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