ラッキーナンバー
 


そのまま志築くんに背を向けて帰ろうとすると、ぐいっと腕を引かれた。



「放して」

「じゃあ、今から俺が言うことも、お前にとっては嘘ってことか」

「当たり前でしょ」



絶対、何言われても
信じてあげない。

じっと睨みつけていると、何がおかしいのか志築くんはふっと笑って言った。



「お前は本当にぶさいくだな」

「なっ…!」



改めてそんなこと言わなくてもいーじゃん!



「だから、俺お前のことすげー嫌い」

「だからわかってるってば!」



志築くんが、私のこと好きじゃないことくらい

でも…

大嫌いって思ってる人なのに
好きって言われても、嫌いって言われても、少し傷つくんだな…

なんだか、きゅーっと胸が締まる気分なのは…なんで?



「お前、信じねーんだろ俺のこと」

「あっ、当たり前でしょ!」



絶対信じない、だから…



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