ラッキーナンバー
 


「ま、そんなことはどーでもいいからさ、席変わってよ」



隆が話を元に戻す。

ってゆーかどうでもいいって…自分が言い出したことじゃん



「あ?なんでだよ」

「え、だって別に和音のこと好きじゃないならこの席でいる意味ないでしょ?
それに俺の席、窓際1番後ろだから、寝るには絶好の場所だと思うけど」



ねっ、と言って隆が志築くんに笑顔を向ける。

クラスメイトたちは息を飲んで志築くんの反応を待った。



「……………」



志築くんは黙ってぐるっと教室を見渡してからピクッとこめかみを揺らした。



「……っ…わ…かったよ」

「え、いーの?」

「いいも何も、断る理由ねーだろうが」



断る理由が…ない?

なにそれ



「よかったぁー」

「聖斗くん和音ちゃんのこと好きじゃないんだ」

「私にもまだチャンスあるかなぁ?」



誰かはわからないけど、あちこちから女の子の小さな嬉しそうな話し声が聞こえる。



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