ラッキーナンバー
 


あれは、中学1年生になったばかりの春のことだった。



『和音…俺転校することんなった』



急に、隆にそんなことを言われてビックリした。



『え、いつ!?』

『明日…』

『明日って…そっ…そっか……』



隆がいなくなったら、さみしくなるなぁ…

だってずっと一緒で、いつもお互い側にいて

なのに、急にいなくなるなんて…



『で、俺、実は和音に話があって…』

『なに?』



隆が下を向いて、ボソッと言った。



『俺…さ』



―ブロロロロ…



『だから、』



―ブォン ブオン



『んだっ!!!』



……………え?

タイミング悪く、隆が話し始めてから何台ものトラックが通り過ぎて、隆が何を言ったのか全く理解ができなかった。



『ごめん隆、聞こえないからもう一回言って?』



だからそう私が聞き返すと



『そっか…わかった!じゃあな!!』



と言って、隆はなぜか去って行ってしまった。

それ以来、会ったのは今日が初めて。

結局、あの日隆が何を言ったのかはまだわからないけど…



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