ラッキーナンバー
「和音、危ないっ!」
「え」
茉莉華に言われて、ハッと我に返る。
グイッと後ろから襟をつかまれて、さらにそれをすぐに放されて、私は地面に思いきり尻餅をついてしまった。
「いった…!」
だけどそのわずか数秒後、物凄い勢いで頭の上をサッカーボールが飛んで行った。
「えっ…」
「悪い坂下ー!コントロールミスったぁ!!」
サッカーボールを飛ばしてきたクラスの男子が、遠くで私に向かって手をパンと合わせて謝る。
「え、あぁ、うん…」
あまりに短時間に色々なことが起きて何がなんだかわからなくて、私は適当に返事をした。
「悪いで済むわけねーだろ」
後ろから声がして、地面に座りこんだまま首を捻って見上げると
そこには私の襟を引っ張った張本人だと思われる男が立っていた。
「志築くん…!」