ラッキーナンバー
「どーしたの和音?」
騒ぎを嗅ぎつけて、隆がこちらにやって来た。
「何でもないよっ!」
私はそう言って志築くんをギロリと睨みつけた。
「あ?なんだよ
俺なんもしてねーだろ」
せっかく、ちょっとは優しいとこあるのかもって見直したのに…
「私のありがとうを返せばかぁああ!!!」
「は」
「え?」
私はそう吐き捨てて、グラウンド5周を超高速で走り終えた。
ストップウォッチで時間をはかっていた先生は、私のタイムを見て信じられないという表情をしていた。
「坂下、お前陸上部に…」
「ばっきゃろー!!」
「あのな、陸上…」
「くそーぉおお!!」
「陸っ…」
我を失っていた私は、先生の話なんか全く耳に入っていなくて
気付けば1時間目は終わっていた。