ラッキーナンバー
「ごめん」
手を合わせて、一言そう謝ると、隆は勢いよく席を立ち上がった。
「…そっか、わかった」
そしてそう言うと教室を飛び出してしまった。
「え!ちょっと、待ってよ隆っ…!」
6時間目開始のチャイムが鳴り響く中、慌てて私も後を追いかけた。
人気のない校舎裏で、やっと隆が立ち止まった。
「隆っ、ほんとごめんって」
「………………」
「今度なにかオゴるから許してっ、ねっ?」
私がそう言うと、隆はゆっくりとこっちを振り返った。
「今度って、いつ?」
「え?えーっと、明日とか、明後日とか…?」
「無理だよ」
隆は少し、寂しそうな顔をして言った。
「実は俺、転校してきたわけじゃないんだ」