ラッキーナンバー
「その時私確か、聞こえないからもー1回言って?みたいなこと言ったもん」
「は………?」
隆は目を丸くして私を見る。
あ、なんかだんだん思い出してきたかも…
「あぁ、そうだよ!
確かさー、あの時あの場所の近くでちょうど工事してて、隆の言葉全然聞き取れなかったんだよ!」
そうだそうだと私が一人で笑っていると、隆は額をおさえてその場にへたんとしゃがみこんだ。
「え、隆…?」
「なんだよー…それじゃあ全然、届いてなかったんじゃん…」
まぁ、そういうことになりますかね。
「なんか…ごめんね?」
「や、ごめんねは余計傷つくからやめて」
「あ、ごめっ……あ。」
また、言ってしまった。
隆は地面を見つめてハァーと長く息を吐くと、"よし!"と気合いを入れて立ち上がった。
「じゃーさ、もー1回言うけど、俺、和音のこと「すみません」