ラッキーナンバー
 


「その時私確か、聞こえないからもー1回言って?みたいなこと言ったもん」

「は………?」



隆は目を丸くして私を見る。


あ、なんかだんだん思い出してきたかも…



「あぁ、そうだよ!
確かさー、あの時あの場所の近くでちょうど工事してて、隆の言葉全然聞き取れなかったんだよ!」



そうだそうだと私が一人で笑っていると、隆は額をおさえてその場にへたんとしゃがみこんだ。



「え、隆…?」

「なんだよー…それじゃあ全然、届いてなかったんじゃん…」



まぁ、そういうことになりますかね。



「なんか…ごめんね?」

「や、ごめんねは余計傷つくからやめて」

「あ、ごめっ……あ。」



また、言ってしまった。

隆は地面を見つめてハァーと長く息を吐くと、"よし!"と気合いを入れて立ち上がった。



「じゃーさ、もー1回言うけど、俺、和音のこと「すみません」



< 151 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop