ラッキーナンバー
 


「いったぁああ゙!!!」



放課後の家庭科室に、私の叫び声が響く。


私と茉莉華は、2週間後の"秋の味覚会"のために、今から特訓をしていた。



「和音、大丈夫?」

「ちょっと、保健室行ってくる」



包丁で切ってしまった血がでている指先を、タオルでおさえながら保健室に向かう。


なんで…

あんな嘘を言ってしまったんだろう



すみません。

今までの家庭科の成績は、2でした。

良くて3とかもあったけど…



もし、中学時代の私のことを知っている人に聞いたら、きっとこんなことが言われるんだろう。



『あぁ、坂下?あいつに包丁持たせたら凶器だよ』

『和音かぁ…料理は、ちょっと得意じゃなかったみたいだよね、あ、勉強も出来ない子だったけど』

『坂下さんねぇ、今まで教えてきた子の中であんなに不器用な子はいなかったわ』



3年かかっても上達しなかったことを…あと2週間で…

どうしろと?



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